WAM助成事業(2014年度)

2014年度WAM助成事業の概要です。

事業名

対話で作る自己表現、孤立と認知症予防事業

事業概要

「孤立や引きこもり、うつや認知症などの困難を抱えた高齢者が増加しているという現状に対して、地域住民が参加し、心の孤立や生きがい喪失、意欲低下などによる上記困難を予防することを目的に、①高齢者を対象に、ご本人が家族や傾聴ボランティアとともに対話をしながら、自分の思いを表現した『セルフパンフレット』を作成し、活用する、②聴き書きやモバイル端末を利用した作業をともに進める『作成サポーター』を養成し、その地域において市民レベルの支援モデルを確立する」ことを実施する事業


現状と課題

現在、東京都台東区の高齢化率は24%(H23年)を超え、孤立や引きこもり、うつや認知症などの困難を抱えた方々の増加、またその予防への対策が地域でも大きな課題となっている。このようななかで平成24年9月、台東区内で初めて住民による傾聴研究グループが立ち上がり、平成25年度は年間のべ570名を超えるボランティアが、区内の高齢者施設等において活動をしている。

 メンバーは日々の活動のなかで、高齢者の孤独感、生きがいの喪失や意欲の低下が、上記のような困難を誘引する大きな原因のひとつでもあることに着目してきた。本来ならば、その方の背景や価値観などをふまえ、気持ちに寄り添った形での周囲のさまざまな対応が不可欠だが、現行の制度のなかでは「心のケア」に対する優先度は残念ながら低いため、制度外の取り組みとして、その人らしさを支える、話を聴くだけに留まらない地域でできる何らかの支援の必要性を訴えている。

 どのような状況にあっても、高齢者が周囲とのコミュニケーションをとりながら自分らしく、また生きがいを持って意欲的に生き抜いていけることが問題解決へ向けた一歩となることは理解されるところだが、それでは「その人らしさ」や気持ちの部分を支えるために、今、具体的にどのような取り組みの方法があるのかが、目前の直接的な課題であると、わたしたちは捉えている

今回の事業において、高齢者が家族や傾聴ボランティア、作成サポーターなどといった人たちとの対話を重ねることによって、周囲とのコミュニケーションが深まり、心の孤立感を払拭させることができることを目標としている。また、セルフパンフレットを作成することで、自らのあゆみを回想し、自分自身を肯定的に受け止めることで、自分にもまだ何かやれるという気持ちが生まれる。そのような前向きな気持ちが得られると、生きがいや生きる意欲が高められ、脳に刺激を与えられること、また身体的な健康に対する取り組みにも積極的に参加する気持ちが芽生ることなどによって、主体的な行動が取りやすくなることなどから、認知症を予防することにつながっていく一助になると考える。
  この事業をすることで、セルフパンフレットを作成した高齢者と家族にのみならず、家族と家族、家族と地域、他の高齢者とのつながりなど、連携や心のつながりの輪が広がっていくことを理想としている。

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